ぎふの木の住まい協議会 事務局

close close

2025.02.21ひと手間を楽しむ、薪ストーブのある暮らし

笠原木材株式会社

暮らしの中にある「ひと手間」。それは”面倒なこと“を楽しみに変えてしまう作業。一つのことに向き合う時間が、愛着を育み、暮らしに豊かさをもたらしてくれます。ここでは、薪ストーブとじっくり向き合いながら暮らす、Y様邸を訪問しました。

ひと手間かかる薪ストーブで“面倒な作業”も楽しむ

「今日が今年最初の火入れです」と、薪をくべ始めたY様。薪の位置や空気の量を調整しながら火をおこし、パチパチと木が割れる音とともに、次第にまわりが暖まっていく。「子どものころから神社の焚き火や、薪をくべることが好きで、薪ストーブのある暮らしは憧れでした」。薪ストーブに詳しい笠原木材で家を建て、念願が叶い導入した薪ストーブは、ダッチウエスト社のフェデラルコンベクションヒーター。「自動で空気の量を調整する機種もありますが、これは全て手動で行うストーブで、車で例えるならマニュアル車のようなタイプ。でもその手間をかけたいから、あえてこの機種を選んだんですよ」。

休みの日は、起床したらすぐに焚き、一日中温度計や湿度計をチェックしながら薪ストーブの番をするとか。メンテナンスも怠らず、ヤカンで水を沸かした後は輪じみができないよう すぐに拭き、日ごろからボディを拭いたり、煤のついたガラス窓を灰汁で磨いたりしているそうだ。「鉄なので水気があるとすぐに錆びちゃいますからね。でもこうした手間が日常の一部で、面倒ではなくて楽しいんですよ」とほほえむ。薪ストーブの前に夫婦で座り、きれいに磨いたガラス窓を通して、火を眺めて一緒に過ごす。そんな贅沢な時間もこの家では日常の風景だ。

手作業で原木から薪に。薪割りイベントにも参加

薪は4月に原木を買ってチェーンソーで切り刻み、斧で割って積み上げ2〜3年乾燥させてから使う。毎年4〜5トンの薪を、数年先を見据えて用意していくというスパンの長い仕事だ。敷地内には笠原木材が造った薪小屋があり、別の場所で乾燥してある薪を1シーズン分持ち込み備蓄している。「夫は薪割りをする時期になると、今年はどのぐらい使いそうかなって楽しそうに考えているんですよ」と微笑ましそうに教えてくれた奥様。

笠原木材では年に1回、4月後半に「炎の薪割り合宿」を開催。同社で家を建てた薪ストーブの愛好者たちが集まり、皆で共同して薪割りをするイベントだ。「Y様はチェーンソーを使いこなせる貴重な人材です」と同社のスタッフ。当日は参加者全員がひたすら木に向かい黙々と作業をする光景が繰り広げられるとか。「薪割りは一人で黙々と行う作業ですが、ここでは皆と『この木は割るのが大変そうだね』『そのやり方いいね』といった何気ない会話ができるので楽しいですね」とY様。作業後に皆で食べるカレーは格別で、年1回のこのイベントを楽しみにしているそうだ。

仲間や家族を呼んで薪ストーブでピザ&ビール

冬になると暮らしの楽しみが増えるY様ご家族。友人や親族などを呼んで薪ストーブで自家製ピザを焼き、薄着で過ごせる暖かい部屋で、こだわりのビールを飲んで皆と過ごす。「生地から作って焼いたピザは、それだけでごちそうになります。皆も楽しく過ごしてくれて嬉しいですね」。薪ストーブは床も暖めてくれるので、子どもは年中裸足が当たり前。時間が経つと部屋の温度が上がり、どんどん服を脱いでいるそうだ。扱いが面倒な薪ストーブも、好きだから楽しい作業になり愛着が増していく。手間をかけることのその先には、日々の何気ない楽しみや、暮らしの豊かさがあるようだ。

施工:笠原木材株式会社

トップへ