2024.12.31土間のある家
昔の日本家屋にあり、日本人の暮らしの中にあった「土間」。現代の住宅においても取り入れられることがあるが、その土間空間は、住む人の用途に合わせた多彩な広がりをみせている。
目次
cace_01 暮らしに寄り添うリビングからつながる土間 岐阜県土岐市 I様邸
郊外の穏やかなロケーションに建つ平屋のI様邸。家づくりを始める前の希望は「平屋の家を建てたいということと、薪ストーブを使いたいということ」この2つだけ。リビングに
土間をつくることは当初イメージしていなかったという。薪ストーブをリビング空間に設けるにあたり、燃料となる薪の保管や日々の掃除のことを考えて、床が汚れても扱いやすい土間にすることに。また、将来的には犬を飼いたいと思っていることから、食事やトイレといったお世話をこの土間で行えることもポイントの1つだった。暮らし始めてみて「薪ストーブは最高です。暖かいことはもちろんですが、のんびり火を眺める時間はとても贅沢だと思います」とI様。暮らしやすさを考えて提案された土間は、機能的な役割も果たしながら、リビングの延長上にあり、のびやかさとくつろぎをもたらしてくれる空間となった。
cace_02 みんなが集う土間はアールの曲線がポイント 愛知県愛西市 M様邸
ご夫婦ともにアウトドアがご趣味のM様邸の土間は、キャンプ道具の準備やメンテナンスの場所としても活躍し、中と外をアクティブにつないでくれる空間。友人たちが集まってホームパーティーをするときには、リビングから一段下がったところに腰を下ろし、土間を囲みながら談笑することも。室内にありながら、リビングとはまた違ったくつろぎを与えてくれる特別な空間だ。また、この美しい曲線はデザイン的な要素だけでなく、両端に座った人同士も自然と目線があうようにと設計士の提案によるもの。土間で快適に過ごす工夫は性能面にもあり、床はコンクリートの上にグレーのタイルを張り、窓から注ぎ込む太陽の熱を吸収してため込むため、冬場でも温かい。逆に夏場の高い日差しは遮るように庇を調整しているので、1年を通して快適な土間を実現。アクティブなM様ご夫婦の暮らしの中心にある土間空間となった。
cace_03 夫婦の趣味を存分に楽しめるこだわりの木の土間 岐阜県多治見市 I様邸
ともにスノーボードとサイクリングが趣味というアクティブな仲良しご夫婦。マイホームを建てるなら、「思い立ったらスノーボードに行ける場所にしたい!」という念願を叶え、多治見市に新居を構えることとなった。このあたりは自転車でも走りやすく、自然の風景がいいことも魅力だ。家づくりには自然素材を使ったことが最大のこだわりだ。床は無垢フローリングにしたほか、寝室やクロゼットの中、トイレにまで木や漆喰といった自然素材を使っている。また、スノーボードと自転車、それらのグッズなどを置いておくには、玄関入ってすぐのスペースが最適だと、土間を設けた。土足で入れることに加え、汚れたままでも持ち込めて、そのままメンテナンスできるからだ。土間といってもI様邸の土間は一味違う板張りの土間だ。「モルタルやタイルより柔らかい印象ですし、少しでも木の香りを感じていたい」と、ここにも自然素材を重視する徹底ぶり。いずれは椅子やテーブル、ペレットストーブも設置してくつろげる場所にしようという目論見もあるという。
cace_04 玄関土間は2wayで暮らしやすさと楽しさを両立 愛知県名古屋市 I様邸
壁の一部にレッドシダーなどの木板を張り、ギャラリーのような雰囲気漂うI様邸の玄関。この玄関は2 w a yの土間とつながっており、一方は玄関奥に靴やコート、アウトドアグッズなどを収める収納力抜群のシューズクロゼット。もう一方は玄関を入り左手に、ご主人のワークスペースとなる空間となっている。玄関が広い土間になっていると、ベビーカーをサッと入れたり、買い物の一時置き場にしたりと多目的に活用できるので便利。広いワークスペースは居室のような使い方も可能。また、断熱材をしっかりと施しているので冬場でも足元が冷えない。趣味に没頭できる空間だ。
cace_05 7畳もの開放的な土間が日々の憩いの場に 岐阜県岐阜市 M様邸
玄関を入るとすぐに広いホールが迎えてくれるM様邸。7畳もの広さの土間は、近所の人や来客と、室内に入ることなく気軽にコミュニケーションが取れるようにと設けられた場所。天井はのびやかな吹き抜けとなっており、開放感も抜群だ。これだけの大空間でも、この家が持つ気密・断熱性能の高さで、上下階の温度差が年中を通して1.5 ℃以下を保っているという。この土間空間は、玄関先でご近所さんと談笑する古き良き日本の日常、昔懐かしい土間の雰囲気を、住宅性能の高さで快適にもたらしてくれる。